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物語アナータピンディカ長者

身寄りのない人に食べものを施し、祇園精舎を寄進した長者の物語です。

は、コーサラ国の都に住んでいた裕福な(家長)です。本当の名はスダッタといいます。身寄りのない人々にいつも食べものを施していたので、「身寄りのない人に食を与える人」という意味のこの名で呼ばれました。日本では給孤独長者(ぎっこどくちょうじゃ)とも呼ばれます。

あらすじ

商いで遠くの町を訪れたとき、スダッタは、世にが現れたと聞きます。その知らせを聞いただけで胸が高鳴り、夜明けを待ちきれずに、まだ暗いうちから会いに出かけました。

町はずれの暗い道で、スダッタは怖くなって引き返しかけます。それでも足を進め、ついにお釈迦様に会うことができました。教えを聞いた彼は、ブッダへのゆるがないを得ます。

自分の町にもお釈迦様と僧たちを迎えたい。そう願ったスダッタは、ジェータ王子の林を譲ってほしいと頼みました。王子は冗談のつもりで「地面を金貨で敷きつめるなら」と答えます。スダッタが本当に金貨を運ばせて敷きはじめたので、王子はその真剣さに打たれ、残りを自分からの寄進にしました。こうしてできた僧院が、祇園精舎です。お釈迦様はここで多くの雨季を過ごし、たくさんの教えを説きました。

のちに財産を失って貧しくなったときも、アナータピンディカは、できる範囲での施しをやめなかったと伝えられています。

この話の教え

は、ただ物を手放すことではありません。アナータピンディカの施しは、困っている人の空腹を満たし、祇園精舎という、多くの人が教えを聞ける場所を生みました。一人の施しが、何世代もの人の学びを支えたのです。

また、彼は暗い道で一度は足を止めながらも、怖さを乗り越えて会いに行きました。大切なものとの出会いは、少しの勇気から開けることがあります。

施しは大きな額でなくてかまいません。持っているものの中から、相手と(僧の集まり)のためにできることを、喜んで差し出す。その心がけが大切だと、上座部の伝統は教えます。