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物語サーマーヴァティー王妃

命をねらわれても憎しみで返さず、慈しみの心で向き合った王妃の物語です。

お釈迦様の時代、コーサンビーという都に、ウデーナ王の妃のひとりに、サーマーヴァティーという女性がいました。侍女のクッジュッタラーを通しての教えを知り、王宮の女性たちとともに熱心なになった人です。

あらすじ

王にはもうひとり、マーガンディヤーという妃がいました。彼女はかつてお釈迦様に縁談を断られたことを恨み、お釈迦様を敬うサーマーヴァティーまで憎むようになります。

マーガンディヤーは、王の楽器に蛇を仕込み、サーマーヴァティーのしわざに見せかけました。怒った王は弓を取り、サーマーヴァティーに矢を向けます。

そのときサーマーヴァティーは、王を恨む代わりに、王にも自分をおとしいれた人にもの心を向けました。そばの女性たちも同じようにしました。伝承では、放たれた矢は王妃に届かず、向きを変えて戻ってきたといいます。王はその姿に心を打たれ、妃に許しを請い、それからは妃たちがお釈迦様の教えを聞けるようにしました。

その後もマーガンディヤーの企みは続き、サーマーヴァティーは王宮の火事で命を落とします。それでも最期まで心を乱さず、瞑想を続けたと伝えられています。のちにお釈迦様は、在家の女性の弟子のうち、慈しみの心で暮らす人の第一として、サーマーヴァティーの名を挙げました。

この話の教え

ひどい目にあうと、相手を憎み返したくなります。けれどもで返せば、怒りはさらに大きくなります。サーマーヴァティーは、自分を傷つけようとする人にさえ慈しみを向け、争いの連鎖をそこで止めました。

慈しみは、相手のふるまいを許してしまう弱さではありません。自分の心を憎しみに明け渡さない強さです。すぐにはまねできなくても、腹が立ったときに一呼吸おき、「この人も苦しみから離れられますように」と思ってみる。その小さな練習が、心を守ってくれます。

慈しみの育て方は、慈しみの瞑想で紹介しています。